教育の無償化議論始まる
おくの総一郎です。いよいよ新年度。皆様いかがお過ごしでしょうか。
私が賛成してきた教育の無償化の議論が、国会で始まっています。
憲法改正をすべきだという意見もありますが、まず財源を考えるべきです。
財源については、自民党が「こども保険」という提言をまとめました。提言では、企業と従業員の支払う社会保険料を将来的に0.5%ずつ引上げ、保育や幼児教育が実質無償となる約1.7兆円の財源確保を目指すというものです。
教育は社会全体で支えるべきであり、税を財源とすべきです。なぜ社会保険なのでしょうか?反対が少なく徴収し易いからです。これまでも、社会保険料の引上げにより、税と社会保障の負担額(年間約131万円/人)は、20年間で2割増えています。誤魔化してとるので、使いみちにも十分な説明が行われません。気づかないうちに負担だけが増え、生活が苦しくなっています。
負担増という意味では、税も社会保障も変わりありません。その場しのぎではなく、大学まで含めた無償化について、税制の抜本改革と合わせて、正面から議論をすべきです。以下、介護保険についての議論もあわせてご覧下さい。
【今週の議論】 介護保険の負担は増やすべきか?
1 負担増となる「地域包括ケアシステム強化法」が審議入り
「地域包括ケアシステム強化法」が衆議院で審議入りしました(3月28日)。
今回の介護保険制度見直しは、高所得者(夫婦世帯463万円以上、単身世帯344万円以上)の介護サービスの自己負担を現在の2割から3割に引き上げる、一般区分の自己負担月額上限額を37200円から44400円に引き上げる、40歳~64歳が支払う介護保険料について所得に応じて負担を求める「総報酬割」を導入するなど、国民に新たな負担を求めるものです。
2 必要性はあるのか?
介護保険制度は、創設後17年間たち費用総額が3倍の10兆円に増え、今後も介護費用の増加、さらなる負担増が見込まれます。保険料の全国平均は現在5000円を超えていますが、2025年度には少なくとも8000円を超える見通しです。
自己負担を増やせば、利用が抑えられ、給付費の伸びを抑えることができます。試算によれば年間100億円程度抑制できるそうです。また、「総報酬割」を導入すれば、所得に応じて保険料を負担することとなるため、負担の公平につながります。こうしてみると、今回の法案は将来の負担を減らしつつ、負担の公平を目指しており、この点は理解できます。
3 問題は負担隠し、利用者視点の欠如
問題は、こっそり国民負担を増やそうとしていること、利用者の視点が欠けていることです。
政府は、3割負担になるのは僅か3%、月額負担上限もあり、ほとんどの利用者は負担が増えない、と言っています。しかし、その月額負担の上限を、非課税世帯以外と高所得世帯を除く一般区分について7200円も引き上げる予定です。大きな負担増ではないでしょうか。また、財政の厳しい「協会けんぽ」への国庫補助およそ1600億円を廃止し、同額を総報酬割のコストに含め介護保険で賄うこととしています。国の予算の社会保障関係費の伸びは抑えられますが、現役世代はその分保険料が上がり負担増になります。負担増隠しです。
27年8月に2割負担を導入したにもかかわらず、3割負担導入です。今回の制度改正は、給付の抑制を優先し、介護保険サービスの水準及び国民の負担を将来にわたってどの水準にするのか、根本的な議論がありません。本当に必要なサービスを、お金がなく、受けられなくなるようなことがあってはなりません。利用者の視点が欠けているのです。
4 正面から議論を。税と社会保障の一体改革第二弾を!
増税は国民の反対が強いのですが、社会保険についてはあまり議論になりません。負担という点では、税金も社会保険料も同じです。
年金、医療、介護、子育てなど社会保障全般にかかる将来の費用をすべて明らかにし、利用者の視点からサービス水準はどうするのか、どれだけ負担を求めるのか、税なのか社会保険なのか、税と社会保障の一体改革を行うべきです。このかわら版でも述べましたが、我々は、税制の対案を既に出しています。
【先週の活動】
3月28日 衆議院で「地域包括ケアシステム強化法」が審議入り
平成29年度予算成立
3月31日 電波の見える化法案提出決定
政府に公共用電波の利用状況の公開など、周波数の利用状況の透明化を義務付け、電波の有効利用を促進するための議員立法の提出を決めました。
4月2日
週末は、各地でお花見が予定されており、私も参加をさせて頂きました。あいにく土曜日は雨。日曜日も肌寒く桜が満開とはいかず残念でした。