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理念なき自民党合区解消案に反対

1 理念のない自民党案
「参院選の合区解消へ向けた憲法改正の条文案」が自民党憲法改正推進本部で了承された。この案では「選挙区を動きたくない」という議員側の理屈しかなく、何のための改正か理念が全く見えない。最高裁が、参議院の一票の格差を2倍以内に求めるのは、院の役割が憲法上明確でなく、衆議院と同等の強い権限を有するからではないか。定数を増やさず合区を解消するには、参議院の性格を明確にした上、その権限を見直す必要がある。

2 自民党の改正案について

①国政選挙に関する47条に、参院選は3年の改選ごとに、都道府県単位の選挙区から議員を最低1人選出できるとの規定を追加
②同条に、衆参両院の選挙区は、人口だけでなく行政区画なども勘案して定めるとの規定を追加
下院(衆議院)の一票の格差を2倍以内におさめることは、米国やドイツなど先進国では常識となっている。②の改正が成立したとしても、最高裁は、衆議院の一票の格差2倍超を合憲とはしないだろう。意味のない改正案だ。むしろ、衆議院には、一票の格差を2倍以内におさめるよう厳格な仕組みを作るべきだ。①も同様であり、参議院の定数増を行わない限り、現行の定数のまま実施すれば、逆に14条違反となる可性がある。
私は、合区の解消に反対ではない。むしろ、地方の代表を積極的に国会に送るべきと考えている。国民投票で否決(2016年12月)されてしまったが、イタリアの上院改革案が参考になる。
イタリアの上院は、日本の参議院と同様、下院(日本の衆議院)と対等なのだが、これを(1)上院議員数を現在の315議席から100議席に削減、(2)上院を地域代表の議院にする。原則として州議会の間接選挙で選出(州議会議員から74名、市長から21名)、(3)一定の法律(地方制度に関するもの)を除き、原則として下院のみが立法。上院は修正案を作成することができるが下院は単純過半数で上院と異なる見解をとることができる、とする憲法改正案だった。
我が国も、参議院を地方代表の院とし、衆議院と対等なのは地方制度に関する法案・予算などに限るようにしてはどうか。あわせて定数削減も検討すべきだ。こうした参議院改革とセットにすれば自民党改正案①も可能となる。

③地方自治に関する92条に都道府県を指す「広域の地方公共団体」を明記。
我が党の憲法改正案も「広域地方自治体」を盛り込んでいるが、地方分権・道州制を導くために規定したものである。都道府県ごとの議席を維持するための自民党改正案③には、全く理念がみられない。憲法第八章「地方自治」全般を、地方分権の理念にしたがって見直すべきではないか。

3 「この国のかたち」を描く憲法改正を
我々は、合区解消ありきではなく、参議院の在り方・地方自治の在り方という「この国のかたち」を示す憲法改正を目指している。我が党は先日、地方自治に関する憲法改正案をとりまとめた。地方分権・財政自主権を憲法に規定するものだ。
このように地方分権を進める、参議院をその地方の代表の院として明確に位置づける憲法改正を行い、結果として合区の解消がはかられるべきだ。
理念のない自民党案には反対だ。