1. 「行政の歪み」の元凶

「行政の歪み」の元凶

 総務省幹部への新たな接待32名延べ78件が明らかになった。接待を繰り返した東北新社をめぐっては、当時の担当課長が外資規制違反を知りながら処分をしなかった可能性が高いことも認定された。ただし、この調査は、外資規制違反を中心に行われており、それ以外の総務省の有識者会議「衛星放送の未来像に関するワーキンググループ」の報告書の内容が歪められたのではないか、といった疑惑には答えていない。

 

 6月3日には、鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループ元代表と吉川貴盛元農相が在宅起訴された贈収賄事件を巡り、農林水産省が設置した外部有識者による第三者委員会(座長・井上宏弁護士)が「政策がゆがめられた事実は認められなかった」と結論づけた報告書(以下「報告書」という)が野上浩太郎農相に提出された。

吉川元農水大臣就任以前と養鶏・鶏卵政策が変更されていないというのが根拠だ。しかし、吉川元大臣就任(2018年10月2日)前から、秋田元代表が、行政に影響を与えていたとすればどうだろう。この点について先日農林水産委員会で質問をしたので少し詳しく述べる。

①2018年3月15日、秋田元代表は当時の大野畜産部長にアニマルウェルフェア(以下AWとする)に関する要望書を持参した。そこには、AWに関する採卵鶏の飼養管理指針の改定が「生産者の死活問題」になるので「指針の改定は拙速」に行うべきではなく生産者も検討委員会に加えるようにあった。またこの席で秋田元代表はAWコードの作成をもっと日本がリードすべきと発言した。

②秋田元代表は、この頃以前から、1・2ヶ月に一回程度の頻度で大野畜産部長を訪問し2・3時間面会することがあった。畜産部長の面会が長時間に及ぶとその間、部の業務が停滞することから、養鶏団体を担当していた畜産振興課の伏見課長は、同席し話が長くなるようであれば別室で話を引き取って聞くように努めていた。

 

関係事業者とはいえ、これだけの時間面会をすることは異常だ。秋田元代表と農林水産省との関係を物語っている。

さらに

③大野部長が退任した際には、秋田元代表、西川元農水大臣、後任の富田畜産部長(当時)が会食をしている(2018年8月2日)が、大野部長は費用負担をしていない。大野元部長は退任後2020年7月に秋田元代表からクルーザーでの接待も受けている。今回明らかになった追加の倫理調査では、これまでの3件に加え2件の秋田元代表を含む会食が新たに明らかになっている。

 吉川大臣就任以前から、秋田元代表と農林水産省は深い関係にあったことを伺わせる。

 

総務省と農林水産省に共通しているのは、監督官庁と事業者が会食などをとおして、国会公務員倫理法施行前と変わらぬズブズブの関係にあるということだ。いわば日常的に「行政が歪められている」状況にある。

農水省は「結果」が変わるわけではないので、「行政が歪められてはいない」と主張するが、そうだろうか。「報告書」でも、クルーザー接待を受けた元次官が現職の局長に秋田元代表と面会するよう電話をした事実を認めている。他の事業者に比べて便宜が図られている。総務省では外資規制違反を見過ごした以外の点については農水省の報告書と同様だ。

接待を受けている以上、何かしら便宜が図られているのではないか、との疑義が生じる。

 

なぜ、国会公務員倫理法違反まで犯して接待に応じるのか。

 政権に守られているという甘えがあるからだ。総務省の場合は菅総理の天領と言われていた。農水省も政権中枢の西川元大臣、吉川元大臣に守られてきた。

 私は、官僚の大切な役割は、政権に意見することだと思っている。様々な政策について選択肢を提示する、首相が間違っていればそれを恐れず指摘する、ただし、一旦決定がなされればそれに従うことは当然だ。

 政権に守られていると思えば、意見もできない。それが今の日本だ。コロナ対策はどうだろうか。逆らうものは左遷する、近づくものは守るという菅総理の姿勢が「行政を歪めている」。菅首相は、まずは尾身会長の発言に耳を貸してはどうか。


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