玉木代表が「新しい党(国民民主党)ができたら原則審議拒否しない。新しい国会のルールを自分たちから提案していきたい」と発言しました。同感です。
先進国で例がないと言われる審議拒否が起こるのは、①会期不継続の原則、②与党の事前審査、が大きな原因と考えます。国会改革が必要です。
「会期不継続の原則」は、国会法に「会期中に議決されなかった案件は後会に継続しない」と定められています(68条)。会期内に成立しなければ「廃案」となってしまうので、与党は、多くの法案を成立させようとできるだけ審議時間を減らそうとします。反対に野党は、できる限り審議時間を要求し、また、時には「審議拒否」を行って「議決」阻止をちらつかせることで、法案や予算の修正などを勝ち取ろうとします。
野党が「審議拒否」を使うのは、「事前審査」制の下では与党が野党の主張を呑むことはほぼないからです。「事前審査」は、政府の作成する法案が与党政調等の審査をパスしなければ国会に提出できない仕組みです。党の決定を経た法案を国会審議で修正すれば、党の方針に反することになり、委員会与党理事の失点となります。このため法案の修正は通常行われません。日本の国会は政府提出法案が大半をしめ、この仕組の下、多数与党が了承した法案が、修正なしにどんどん成立していきます(事前審査の過程での修正はあります)。野党の主張は、法案の附帯決議に盛り込まれることはありますが、附帯決議に政府を拘束する力はありません。
審議拒否をなくすとともに、形骸化した国会審議を活性化させるには、①会期不継続の原則、②与党の事前審査、を廃止する必要があります。
①について「この原則は、国会法で定められた原則であるから、諸外国にならって、総選挙から総選挙までを一つの「立法期」ないし「選挙期」と考え、その間の一つひとつの会期を独立して考えない制度に改めることは、可能である。」と芦部教授も述べています(芦部信喜「憲法」)。国会法62条を改正し、会期をまたいでも廃案とならないようにすることは可能です。会期不継続の原則をなくせば、廃案を気にせず審議に充分時間をとることができ、審議拒否も意味がなくなります。
②については、フランスが参考になります。フランスでは委員会・本会議を通じて与野党で修正案を提示しあいながら、逐条審査を行い、法律ができあがります。我が国でも、事前審査を廃止し、与党は、国会の場で審査を行い、野党の意見も聴きつつ柔軟に修正を行う仕組みとすべきです。
審議に充分時間をかけ実質的な議論を行える、先進国として恥ずかしくない国会とするため、今こそ改革が必要です。