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なぜ憲法改正の議論が進まないのか

11月7日、14日と2回にわたって海外視察報告に関する憲法審査会が開催された。私からは、視察報告として①国ごとに状況が異なり、憲法改正の回数だけを比較して改正がない日本を特殊だということはできない、②抽象的違憲審査機能を持つ「憲法裁判所」設置を検討すべき、③いわゆる緊急事態条項について現行法制で十分対応でき憲法改正が必要だとは言えない、という3点を申し上げた(詳細は前のブログに記載している)。このうち憲法裁判所の検討を行うことにつき、山尾委員(立憲)、船田委員(自民)、浜地委員(公明)からは前向きな意見を頂き、良い議論になったと思う。
こうした地道な議論を積み重ねれば、本当に必要な憲法改正にたどり着くのだが…。なぜ、議論が進まないのか。本来、現行憲法のここが不都合であるという問題を改正項目として取り上げ、徹底的に議論をして国民のコンセンサスを得るべきだ。しかし安倍総理は、自民党が示す改憲4項目ありきで2020年改正憲法施行に向け議論を急がせようとする。この短期間で国民的な合意形成ができるだろうか。急いだ結果、自衛隊を規定する改正案が国民投票で否決されたらどうなるのだろうか。自衛隊は違憲となるのか。
議論を急ぐべきではない。そもそも、4項目のうち緊急事態条項や、フルスペックの集団的自衛権を認める9条改正案については国民のコンセンサスがあるとは言えない。教育の無償化は憲法によらなくとも法律で可能だ。合区の解消は公明党も指摘しているようにこの案ではできず、参議院のあり方の検討が必要だ。安倍総理は、政権のレガシーとして何でも良いから憲法改正をしたいのではないか。
この4項目に限る必要はない。地方分権を進めるため地方自治の充実や上で述べたように憲法裁判所の設置についても検討が必要だ。ひとつひとつ、改憲が必要な部分はどこか積み上げて議論をすべきだ。
1年に満たない期限を区切っては落ち着いた議論はできない。改憲4項目を前提とせず2020年施行という期限を撤回すべきだ。議論を進まなくしているのは、安倍総理自身だ。