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菅政治の限界

 菅首相は、まず具体的な目標を掲げる。「国民が喜ぶであろう」という直感で発言をし、なぜそうした政策が必要かは問題ではない。
 官房長官時代に日本の携帯電話料金について「4割値下げできる余地がある」と発言したり、総務大臣の時にはNHKの受信料の「2割程度の値下げ」を求めたこともある。ご承知のように、携帯電話料金もNHK受信料も、その後、一定程度引き下げれられた。
 根回しをせず突然具体的な目標を掲げ、世論を味方に強引に結果を出す、これが菅流だ。
 この手法は、相手が許認可の対象であったから実現できた。報復を恐れ、忖度が働くからだ。しかも相手はせいぜい、数社だ。
 コロナではこの手法は上手く行っていない。菅首相は当初、17日間の「短期集中」と明言していたが、約束を守れなかった。年初に2度目の宣言を出した際も「1カ月で絶対阻止」としながら、2度の延長に追い込まれた。根拠なく目標を掲げても、結果が出るはずはない。ウィルスは忖度をしない。
 昨日(7日)、菅首相は「1日100万回」の接種目標を掲げた。7月末までに高齢者3600万人に2回接種を終える、つまり7200万回接種を行うため、逆算した数字であろう。
 まさに菅流だが、昨日の野党ヒアリングで政府の担当者に、7月中に終えられるか尋ねると「頑張る」と繰り返すだけだった。これから自治体からヒアリングを行い、支援をするという。人事権を使って役人を動かし答えを出させるというやり方も限界だ。470万人の医療関係者、全1718の自治体の協力が不可欠であり、忖度でこれだけの関係者を動かすことはできない。

 夏の東京五輪・パラリンピックを開催し「人類が新型コロナに打ち勝った証し」として内外に示す(そして首相に再選される)ことが、菅首相の最大の目標だろう。しかしそのことが上記のような無理な「目標」をうみ、社会を混乱させているのではないか。
 バッハ会長もどうやら来日をしないようであり、東京五輪・パラリンピック開催は封印してはどうか。緊急事態宣言を十分な期間全国で実施する、14日間は全帰国者を空港周辺で隔離するなどインド型変異ウィルス等への厳しい水際対策をとる、売り上げ減少に応じて支給する持続化給付金第二弾を支給するなどの措置を講じながら、まずは医療従事者の接種を完了の上、7月末にこだわらず高齢者接種を可能な限り早く終える。というパッケージを菅首相から示し国民に協力を求めるべきだ。
 「場当たり的な対応」では感染は減らない。菅政治の限界だ。